日本財団 図書館


 

066-1.gif

Fig-13.relationship between t(h)and W(cm)

これより、図−12に示した様に、耐荷力の半分の荷重においては、20時間経過後も撓みの変化はほとんどない。しかし、図−13に示した様に、耐荷力の8割程度の荷重をかけた時は、載荷後2時間を越えると急激に撓みが増加している。これは、耐荷力を1.8(t)とした時の中心の撓みが2.4(?)であり、載荷2時間を越えると2.4(?)以上撓むため氷盤が破壊したものと思われる。また実験後、載荷盤の下には多数のクラックが入っていた。これより、耐荷力の8割程度の荷重をかける時は、一定の位置に2時間以上置くのは危険である。
次に、Panfilov,Assurによっても同様の実験が行われており載荷から破壊に至るまでの時間と耐荷力の関係が示されている(図−14)。

066-2.gif

Fig-14.The bearing capacity under the condition of lollg-term loads

ここで、Pcr(t)は載荷時間t時間後の耐荷力であり、pcrは氷盤を弾性体としたときの耐荷力である。これより、Panfilov,Assur 等の実験結果とほぼ同様の結果が得られ、耐荷力の半分の荷重においては、20時間経過後も安全であるが、耐荷力の8割程度の荷重をかけた時は、載荷後2時間を越えると氷盤が破壊し危険である。
6. 結論
(1)無限氷盤に円形の等分布荷重が作用したときの耐荷力を求めるための推定図を作成した。
(2)ある荷重が作用したときの撓み量を測定することによって、無限氷盤に円形の等分布荷重が作用したときの耐荷力を現地においても容易に求めることができる。
(3)比較図を用いることによって、様々な載荷条件での耐荷力を円形の等分布荷重が作用したときの耐荷力から求めることができる。
(4)長期載荷では、耐荷力の50%の場合、載荷24時間後も撓みの変化はなく氷盤の耐荷力の低下は見られなかった。しかし、耐荷力の80%の場合には、載荷2時間以降急速に氷盤が撓み、載荷域には氷盤に網状のクラックが発生していた。以上より、長期載荷の場合の耐荷力は短期荷重の耐荷力の50%程度以下を目安と考えたほうがよいことが明らかになった。
参考文献
1)北条、原、佐伯:浮氷盤の利用と課題、寒地技術シンポジウム'92、P406−412、1992
2)KerrA.D.:The bearing capacity of floating icePlate sub jected to static or quasi−static loads,Journal of Glaciology, vol l7, No. 76,P 229−268,1976
3)佐伯、尾崎等:海氷の弾性定数と氷盤の耐荷力について、第27回海岸工学講演会論文集、p353−357、1980
4)北条等:ジオテキスタイルによる補強氷盤に関する研究、寒地技術シンポジウム'92、p413−416、1992
5)佐々木等:浮氷盤上における交通の安全性について、寒地技術シンポジウム'86、p192−200、1986

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION